お役所はソフトパワーを増強せよ!"(週間!木村剛)

 本当にITを活かしたいのであれば、会社の内部規定や組織などにも手を入れなければならないのに、「ITさえ導入すれば、すべてが薔薇色になるはず」とか「こんなにカネをかけたんだから、それぐらいITで解決しろ」という全く筋違いのお話になりがちなんですね。だから、本当はパッケージものの低廉なソフトで良いところを、わざわざその会社の独特な事務フローに合わせたカスタマイズのソフトにして、わざわざコストを嵩上げするパターンに陥りがちです。
 そんなことせずに、パッケージものの安いソフトを最大限に活用することを考えて、事務フローや内部規定の方を見直せばよいのに、面倒くさいのでそちらには手を着けようとしない。IT業者の方は十分過ぎるほど分かっているのですが、訳の分からないカスタマイズをドンドンした方がお客さまに逃げられなくてすみますし、売り上げも増えるので「口にチャック」の状況です。

実際のところ、コンサルティング・ファームや大手ベンダの口車に乗せられて、CRMやらERPやらを導入したはよいが、実際の業務フローレベルにまで落とし込まれていないので、このような結果に陥っている事例が多々ある。
以前、どこかのセミナーで以下のような話を聞いたことがある。
某運送会社(中小企業レベル)に対し、ベンダがSCMの提案をしに来たが、当の社長はそのうさんくささに気がついた。
社長は、自分たちで全種類の伝票を洗い出し、伝票の流れを徹底的に分析した。その結果、従業員も今までの非効率な作業の欠点を自ら把握することができ、それをソフトウェアに落とし込んだ。
当然のことながら、そのソフトウェアの出来栄えは素晴しいものである。その会社は、逆にソフトウェアをパッケージ化して、ベンダに売らせるようにしたらしい。