IP電話とNTT分割と郵政民営化(週間!木村剛)

もともとNTT分割の目的は「競争」の促進だったはずだ。であれば、東/西/長距離の分割ではなく、同じ地域内での競争が必要であったはずだ。例えば高速道路公団民営化でも意見としてあったが、インフラとサービスを分ける。その上でインフラで競争させるのであれば、インフラA社/インフラB社、サービスレベルで競争を促進するならサービスA社/サービスB社という具合に。しかし実際は、既に存在していた長距離系NCCの意向もあり、地域/長距離を分割することがまずあった。あるべき姿ではなく、(NCC側の)既得権益保護のための分割策がとられたのだ。

現状のNTTを鑑みると、NTT東西、NTTcom、NTTComware、NTTデータが同じパイをお互いに奪い合っている感が否めません。固定電話しかなかった時代には、いわゆるSI事業はNTTデータの独壇場だったのですが、現代のインターネット世代では、他のNTTグループも実際にSI事業を行っているわけです。当時のNTT首脳陣はおそらくここまでインターネットが発展するとは夢にも思っていなかったでしょう。ドッグイヤーと言われる時代なので、先の先まで読むのは非常に困難であるとはいえ、やはり失策であったと言わざるを得ないでしょう。

郵政民営化の結果、「過疎地の回線を維持するのが難しくなったりしないのかな。うちの田舎なんか切り捨て地域になりそ。まあ、田舎は市町村で有線電話や無線放送があったりするから、緊急時には何とかなるのかもしれないが。うちの実家は、昔は有線だったけど今は無線になってる。有線電話網を使ってADSLとか提供してほしかったのに〜」

いわゆる地域間における「デジタル・デバイド」が実際に発生していると聞きます。県庁所在地レベルでは、ITに関するセミナーなどは結構頻繁に開催されているみたいですが、一方、中堅都市では、その類のセミナーが開催されるのはごく稀なようです。