ジェイコム株関連騒動顛末その2

12/09のエントリでは、みずほ証券側にすべての責任があった旨を言及しましたが、やはりというか、なんというか、昨日の晩のニュースなどを見ていたら、東証システムにもバグがあったことが明らかになったようです。

みずほ証券側の対応自体にも多大な問題(警告メッセージを無視した運用が日常茶飯事で行われていた)がありますが、東証側も「俺の方は、今回の件に関しては一切関係ないね」というスタンスを取っていたことが以下のような致命的な結果になってしまったのではないかと思われます。

東証社長「責任の取り方考える」・相次ぐシステム障害で(NIKKEI NET)によりますと、東証社長の進退問題にも発展する大問題となってしまいました。

具体的なシステム障害の原因は定かにはされていないようですが、東証の社長いわく、
「株式・CB売買システムの不具合によるものであることが判明したと発表した」
とのことですが、先月の東証システムダウン時の会見でも、
11月1日の株式・CB売買システムの不良原因について(東京証券取引所)をリリースしたばかりです。

おそらく、局所療法で対応したがために、今回のような「想定の範囲外」の取引を考慮しないシステムテストを行っていなかったことが浮き彫りにされてしまったようです。

システムを納入したベンダーにも多大な責任がありますが、そのベンダーに開発・テストを丸投げしてしまった東証側の管理体制にも大きな問題があるといわざるを得ません。

現実問題として、多くの企業はベンダーからの納品報告を鵜呑みにして、きちんと検収作業(ここでいう「検証作業」とは、イレギュラーなケースを想定したテストを発注者側でも実施確認することを指します)を行っていないケースが多分にあります。

以前のようなレガシーシステムの時代では、システムテストに十分な時間を割くことが出来たので、取引ミスなどを想定したテストなどをきちんとやっていたはずですが、現在のWebベースのシステム開発はスピードが勝負で、十分なテストを行わない状態で本番稼動にこぎつけるケースが非常に多いということをよく耳にします。

短納期で稼動させるということは、それだけ内在するバグの発見を見落とすということにつながります。

トランザクションが発生するようなクリティカルなシステムでは、多少納期が遅れてでも、入念なテストを行ったうえで本格稼動を行うべきだというのが、個人的な見解です。

今回の事件は、株式取引を行う個人投資家にとっても大きな波紋を残すことになるでしょう。

東証システムが爆弾を抱えたままの運用を続けるのであれば、個人投資家が最終的に「ババ抜き」せざるを得ない状況に陥りますから。