最近の企業不祥事事件に思う

最近、よく耳にする言葉に、「企業の社会的責任」(CSR:Corporate Social Responsibility)というものがあります。経団連企業の社会的責任(CSR)推進にあたっての基本的考え方を今年に打ち出しています。しかし、多くの企業が経団連に入っているにもかかわらず、相変わらず企業不祥事は後を絶ちません。元々、CSRという考え方は欧米から輸入されてきた概念ですので、なかなか日本の企業文化にはになじみにくいのは事実です。実際、「私の会社はCSRに基づきコンプライアンス経営を行っています」という企業も多いでしょう。でも、CSRという箱だけを作っても実際には機能していない(つまり、形骸化してしまっている)というのが現状ではないのでしょうか。
CSRを企業・団体に浸透させるには、PDCAサイクル(計画→行動→チェック→見直し)を回し続けなければならないといわれています。継続的にPDCAサイクルを回すには、膨大な費用とリソースを割かなければなりません。こういったこともあり、なかなかCSRが浸透できていないのではないでしょうか?
本日の小松原編集部長のエントリでも、まっとうな企業経営を追求する新ビジネス誌「フィナンシャル ジャパン」において、以下のように昨今の企業不祥事のパターンに集約されていると述べられています。

とくに、不祥事に関する日本企業の対応は、ほぼ同じパターンだといっていいと思います。まず記者会見等で「社内調査で不正な事実はなかった」と言い切ってしまいます。ところがその後、隠していた諸々の問題が次々と表面化してきます。そこで「社内にコンプライアンス委員会を設置して法令遵守を徹底してきたが、十分でなかった」などと言い訳しますが、誰も聞く耳を持たないという羽目に陥ります。

どうも、日本の企業はこの手の対応に不慣れなようです。数年前にエンロン事件が発覚してから、アメリカでは特にCSRに関しては厳しくなってきているようです。
日本企業も、CSRについて鋭敏にならざるを得ないのではないでしょうか。
最近読んだ本の中で、CSRについてうまく纏まっていた本があります。
CSR経営と内部統制」(ISBN:4785751126)
この本でも述べられていますが、「CSR」という言葉が「流行語」として終わることを危惧しています。「CSR」が、日本の企業文化に浸透していくには様々な障壁があることは厳然たる事実ですが、うまくPDCAサイクルを回していくことにより、ステークホルダー(消費者・株主・その他関係者)と企業との友好関係を構築することが出来るのではないでしょうか。